ワウリンカが全米初優勝!
今大会第3シードで世界ランク3位のスタン・ワウリンカ(スイス)が、
第1シードで世界ランクNO.1のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を、
6-7(1-7)、6-4、7-5、6-3でジョコビッチを破り、
ワウリンカが全米オープン2016の初優勝を飾りました。
おめでとうございます。
これでワウリンカは、全豪、全仏に続き、今回の全米と、
3つのグランドスラムのタイトルを獲得したことになり、
これでマレーにも並んだわけです、
しかし、今回の全米オープンでのワウリンカの快進撃は、本当に凄かったですよね。
まさかジョコビッチにも勝ってしまうとは。。。
正直、3回戦で世界64位のダニエル・エヴァンスにマッチポイントまで握られ、
フルセットでやっとの思いで勝った人とは到底思えませんでした。
でもこのエヴァンスに勝ってから、人が変わったように勝ち続け、
準々決勝でデルポトロ、準決勝で錦織、決勝でジョコビッチと、強い相手を次々となぎ倒して
勝ってしまったわけですから、もう尋常じゃない何かテニスの神様にでも
とりつかれていたのではないでしょうかね。(^_^;)
それくらい、それ以降のワウリンカは凄かったと思います。
ですが、錦織がワウリンカに敗けた時は、正直本当にショックで、めっちゃ悔しくて、
昨日は本当に何もする気にならなかったくらいだったのですが、
今は、なんとなくスッキリしています。
私は錦織が、今回の準決勝で絶対に勝てると思ってたからこそ、余計に納得が行かず、
紋々としていたわけですが、詰まるところ、一言で言えば、
ワウリンカの方が、錦織よりも一枚上手だったってことですよね。
全米初制覇できた勝因とは?
実際のところ、そこまで調子が良かったわけではなかったワウリンカが、
なぜ今回、全米初制覇できたのでしょうか。
ワウリンカは、決勝までの6試合で合計プレー時間は既に18時間弱だったとのこと。
準々決勝でのデルポトロ戦では、途中でマッサージを受けたり、痛み止めの薬まで
飲んでプレーしていましたし、ワウリンカ本人も、心身ともに疲れていると言っていました。
ですから、決勝のコートに立った時には、体は既に限界に近い状態だったのかも知れません。
実際ワウリンカは、決勝後のインタビューで、
「肉体的にも、精神的にも、今まで経験した中で一番厳しい
グランドスラムだったと思う。
試合が始まった時点で疲れていて、第3セットにはけいれんもあった」
と言っていました。
ワウリンカは見た目では、強くてパワフルで、自信がありそうな雰囲気ですが、
今回の決勝前は、かなりナーバスになっていたようです。
ワウリンカのコーチ曰く、ワウリンカは更衣室で震えていて、
あまりの緊張から泣き出してしまっていたとのこと。
そしてワウリンカも試合後に、
「どうしようもないほど震えていた。」
と言っていました。
この告白は、本当に衝撃でした。
あのワウリンカが、震えて泣き出すくらいの緊張感とはどれくらいのもの
だったのでしょうか。
しかも今回が初めてのグランドスラム決勝ならともかく、全豪でも全仏でも、
既に2回の優勝をしている選手が、ここまで緊張感に襲われるのですから、
もう想像を絶する心境だったんだろうと思います。
2年前の2014年に、我らが錦織圭が初めて全米オープン決勝の舞台に立った時、
やはり緊張感で良く眠れなかったと言っていましたよね。
そして、過去の対戦成績でも勝ち越していた、格下のチリッチに、
ストレート敗けをして優勝を逃してしまったのは、その心境を考えると、
やはり仕方がなかったのかも知れません。
そんな緊張感やプレッシャーに押しつぶされそうだったワウリンカが、
ジョコビッチに勝てたのは、何だったのでしょうか。
恐らく技術的なことは、もうこのレベルまで来たらほぼ互角だったと思うので、
フィジカルとメンタルだけだったと思います。
ワウリンカは試合前に、
「体は動いてる。
自分のテニスもできている。
コートへ出て戦え。
そうすれば勝つチャンスはある。」
このように自分に言い聞かせて、自分を鼓舞して決勝の舞台に立ったとのこと。
そして優勝が決まった後、秘訣を問われた際には、
「秘訣なんてないよ。
ナンバーワンの選手を破りたいなら、すべてを出し尽くさなくちゃならない。
苦しみを受け入れなくちゃならないんだ。
そして、苦しみをむしろ楽しむくらいにならないとね」
この言葉がすべてだったと思います。
ジョコビッチの敗因とは
足の指のケアを受けていましたが、
「爪がめくれて出血していた。
動くにはかなり痛かった。」
とのこと。
また、敗れたジョコビッチも試合後にこんな敗因を語っていました。
「重要な場面で平常心を失った。
彼(ワウリンカ)は冷静さを保っていた。
それこそが、試合を決めた理由だと思う。
経験があったり、自分が何をすべきか分かっていたりしたとしても、
こういったことは起きると思う。
この日の試合中でも、一瞬の興奮や、試合の重要性が自分に
重くのしかかる瞬間があった。
とにかく落ち着きを失えば、試合は逃げて行ってしまう」
何度もグランドスラムで優勝し、何度も決勝の舞台に立っている世界NO.1の
ジョコビッチでさえ、この境地です。
やはり緊張やプレッシャーに打ち勝つためには、結局自分自身に勝つしかないわけで、
その緊張感などの負の感情をも、すべて受け入れるしかないんですよね。
それがどれ程の感情なのかわかりませんが、その境地に行った人じゃないと、
わからない感情がきっとあるのでしょうし、
それを乗り越えるために、トップ選手でさえも、絶えず努力をしていくのでしょう。
そして、そのすべて受け入れた人は、
苦しみを楽しめるような精神になっていくということでしょうか。
錦織がいずれ近い将来、その境地をまた経験する時が来ると思います。
その時に、今回のワウリンカのような境地に立てるのかどうか、
それは今後の錦織の頑張り次第ですかね。
錦織が何度も何度も、格上の選手と対戦し、試合経験を積むことで、
恐らく自信という名の見えてくる世界が変わってくるのだと思います。
本来の自分のテニスを信じて、これからも邁進していって欲しいですね。
錦織圭の世界ランク5位に浮上!
本日最新の世界ランキングが発表になりました。
錦織は、今回の全米オープンでベスト4まで進出しましたので、
7位から5位に順位を2つ上げました。
錦織は、今回惜しくも決勝進出することはできませんでしたが、
少なくとも、2年前の全米オープンよりもフィジカルもメンタルも確実に成長しているし、
進化していると思います。
考えてみたらワウリンカだって、メンタルが弱いとか、スイス出身ということで、
フェデラーの弟のようだと言われ、頭角を現すのに時間がかかった選手ですよね。
現に、初めてグランドスラムで優勝したのも、28歳10か月だったわけで、
今回の全米オープンで優勝した年齢も、31歳5か月。
12月生まれの錦織は、現在26歳。
来年は27歳でシーズンが始まります。
まだまだチャンスはありますよ。
グランドスラムもマスターズも、錦織が自分の負の感情もすべて受け入れ、
自分を信じ、フィジカルをもっと鍛えていけば、来年も十分チャンスはあるはずです。
来年のグランドスラムこそ、錦織のトロフィーを掲げる雄姿が観たいものです。
それを信じて、自分の中で今年の全米オープンを閉幕したいと思います。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
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