なぜダラスで優勝できたのか?
2週に渡って約5か月ぶりにチャレンジャーシリーズへ参戦し、復帰戦を戦った錦織圭。
ニューポートビーチではさすがに復帰初戦ということで、試合勘もリズムを掴めないまま初戦敗退となってしまったわけですが、ダラスでは徐々に試合勘を取り戻し、復帰戦第2戦目にして、チャレンジャーツアーでは7年ぶり6度目となる優勝を手にしたわけです。
優勝後のインタビューで錦織はこんなことを言っていました。
「やっぱり嬉しいです。
チャレンジャーとはいえ、勝って終われるのは。
今日は良い試合が出来ましたし、久しぶりの決勝で、相手も大会の中で一番タフな相手だったのでちょっと硬くなる場面もありましたけど、やっと試合に戻って来たなという感じがします。
タフな試合を切り抜けたので、良い経験になったと思います。手首がもってくれたのが、それが一番収穫ですね。
やっぱり試合数をこなしていくうちにまた悪くなる可能性もありましたし、こうやって5試合連続で戦えたのも大きな収穫になったと思います。
この何試合かでだいぶ良くなってきましたね。
ストローク戦でだんだん自信がついてきました。
最初の3試合ぐらいはずっと違和感ばっかりだった。特に1試合目はすごくアップダウンもあって試合に入れていなかった。
最近やっと試合に入っていけて戦えるようになってきて、ちょっとずつ理想に近づきつつあります」
このインタビューを読む限り、復帰戦としての練習試合、ツアーに戻る前のウォームアップ程度にしか考えていなかったであろうチャレンジャーシリーズで、本人も想定した以上にアジャストできてしまったということなのではないでしょうか。
もちろん元々持っている実力は、チャレンジャー選手とは雲泥の差ではあったものの、ケガ明けの復帰戦では、最初はおっかなびっくりの互角の戦いくらいな感じだったのに、試合を重ねることで微妙だったフォアが少しづつ合うようになっていったり、サーブのフォームを改善したことが少しづつ良くなっていったりと、勝つことで自信を取り戻し、試合の中で自分を鼓舞したり、修正したりしているうちに気づいたら決勝まで勝ち進んで、最後はマクドナルドに眠っていた自分の強さを思い出させてもらったというような感じでしょうか。
でもそれは、このチャレンジャーだったからこそ得られたものであって、最初からATPツアーに復帰してたら、ただ自信を無くして終わっていただけだったかも知れません。
そういう意味でもチャレンジャーは、錦織が復帰する試合としてはこの上ない最高の環境だったと言えるでしょう。
それがわかっただけでも、このチャレンジャーへの参戦は成功だったと言っていいのではないでしょうか。
完全復活への序章!
ダラスで優勝したとはいえ、あくまでもチャレンジャー大会での試合でしたし、決してこれが完全復活したというわけではもちろんないですよね。
それでも復帰後の第2戦で優勝できたというのは、やはり錦織にとっては意味も意義もあったと思うのです。
我々はつい軽口を勝手に叩き、本人の痛みや苦労など大して考えもせずに、あーだこーだと批評してみたりしがちですが、5か月のブランクは恐らくそれ相応に大変だったと思うんですよね。
手首もしばらくの間動かせなかったと本人も言っていましたし、これからどうなるんだろう、完治しなかったらどうしようという不安や恐さというのは少なからずあったと思うのです。
それでも凹んでネガティブな気持ちを引きずることなく、きちんとリハビリに励み、トレーニングを積み、しっかり自分に向き合ってきたのではないかと。
まだ完全復活したと宣言するには時期尚早ではありますが、それでも完全復活への第1歩は踏み出せたと言っていいでしょう。
そう、これはあくまでも序章です。
これからまた新たな錦織圭のストーリーがどんどん積み重なっていくわけです。
その第一歩を優勝というこの上ない素晴らしいカタチで、しかもチャレンジャーシリーズで達成出来たということは、ある意味本当に良かったなのではないでしょうか。
チャンレンジャーだったからこそ、見えたもの。
チャレンジャーだったからこそ、気づけたこと。
チャレンジャーだったからこそ、出来たこと。
そういったことが、今後間違いなく自身の糧になるはずです。
錦織もかつてこのチャレンジャーツアーで頑張っていた時のことを思い出したと思います。
今回のこのダラスでの戦いが、かつて世界ランク100位以内、50位以内を目指してた頃を思い出すきっかけになったのではないでしょうか。
その後トップ10にいるのが当たり前になり、トップ5を定位置にするようになっていった原点とも言えるよう、新たな新鮮な気持ちで今後も頑張って欲しいと思います。
復帰戦3試合目はNY!
さて、随分前置きが長くなってしまいましたが、いよいよ錦織圭がATPワールドツアーに本格復帰します。
そしてそのツアー復帰戦で最初の試合に選んだのは、ニューヨークオープンです。
このニューヨークオープンは、今年新設されたばかりの新しい大会なのですが、実は元々ここ数年は、メンフィスで開催されていたメンフィスオープンという大会があって、錦織は2013年からの全米国際インドアテニス選手権という名称だった頃から数えて2016年まで4連覇していた大会なんですよね。
今回その大会スポンサーが代わってしまい、拠点をニューヨークに移して新設された大会が、ニューヨークオープンなのです。
そのニューヨークオープンは室内ハードコートなのですが、ブラックコートをATPツアーで初めて採用していて、とても興味深いサーフェスなんだとか。
ブラックコート?それはちょっと見たことないぞ!ということで個人的にも興味津々なんですよね。
錦織はメンフィスオープンで4連覇していたということで、相性はバッチリでしたが、場所がニューヨークに変わったことや、サーフェスがブラックになったこと、復帰戦3試合目ということで、まだ完全ではない手首のことなども踏まえると、いったいどんな戦いになっていくのか、非常に興味が湧きますよね。
そして今回ニューヨークオープンの公式ツイッターが、錦織に対してこんなツイートが投稿されました。
「ニューヨークで、ツアー復帰するのを楽しみにしている」
そしてこれに対して錦織自身も、
「来週のニューヨーク・オープンが待ちきれない。
試合で多くのファンに会えるのを願っている」
このツイート見ただけで、ワクワクしてきました。
ダラスで優勝後、ツアーで最初の復帰戦ですからね。
そりゃもうあなた、私だって待ち切れないですわよ。(^_^;)
とにかく2戦目もケガなく頑張って欲しいと心から願っています。
頑張れ、錦織圭!
大会概要
・大会名:ニューヨークオープン
・開催地:アメリカ・ニューヨーク州・ユニオンデール
・会場:ナッソー・ベテランズ・メモリアル・コロシアム
・開催期間:2月12日(月)~2月19日(月)※日本時間
・カテゴリ:ATP250(優勝者は250ポイント獲得できます)
・サーフェス:ハード(室内)
・ドローサイズ:28
・日本との時差:-14時間
出場者リスト
錦織圭
S・クエリー
K・アンダーソン(南アフリカ)
J・イズナー
R・ハリソン
S・コルダ(アメリカ)
N・ルービン(アメリカ)
A・マナリノ(フランス)
S・ジョンソン(アメリカ)
J・ドナルドソン(アメリカ)
N・バシラシヴィリ(グルジア)
D・ヤング(アメリカ)
D・セラ(イスラエル)
M・エブデン(オーストラリア)
J・シャルディ(フランス)
F・ティアフォー
I・カルロビッチ
V・エストレージャ=ブルゴス(ドミニカ共和国)
P・ゴヨブジク(ドイツ)
E・ドンスコイ(ロシア)
ドロー・トーナメント表
※nikkansportsより出典
テレビ放送はあるのか?
さて、錦織のATPツアー復帰戦ですが、残念ながらATP250の試合は今回テレビ放送がなく、ダ・ゾーンのみ準々決勝から生配信してくれるとのこと。
ちなみにダゾーンの料金は月額1900円(税込)で、ドコモユーザーとスポナビライブの契約者だった人は、1058円(税込)で加入できるようです。
ただし加入後初月31日間は無料とのことなので、とりあえず登録しておけば1か月無料で観れますので是非登録しておきましょう。
スポナビライブが5月になくなってしまうということで、その後ダゾーンがテニスも引き継ぐのかどうかはまだ発表されてませんが、ATP250の試合は放送してくれるみたいなので、このニューヨークオープンはお試し無料期間中ですし、是非ダゾーンで観戦したいですよね。
そして錦織の試合を是非皆で応援しましょう!
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