激動の2018年を振り返る- 復帰への軌跡
- まとめ
激動の2018年を振り返る
激動の2018年シーズンとなった今年を振り返ってみると、やはり色々なことがありました。
過ぎてみればあっという間の1年でしたが、されどケガからの復帰後は激動だったと言わざるを得ません。
そんな錦織の今シーズンを、「復帰への軌跡」というカタチで、ざっくりとですがまとめてみました。
皆さんも是非振り返って思い出して頂き、来シーズンへ思いを馳せて頂ければと思います。
復帰への軌跡
●チャレンジャーで復帰●
1月
・オラクル・ニューポートビーチ
昨年2017年8月に痛めた右手首のケガは、手術するまでには至らなかったものの、約5か月間の戦線離脱は、我々の想像以上に厳しく辛い幕開けとなりました。
シーズン最初の開幕戦は、チャレンジャー大会を選んだ錦織。
我々ファンが待ち望んだ最初の試合がチャレンジャー大会だったことで、そんなに良くないのかと心配していましたが、まずはお試しということなんだろうと思っていましたが、その意味がすぐにわかることとなりました。
第1戦に選んだ大会は、マイケルチャンコーチのお膝元である、カリフォルニア・ニューポートビーチのチャレンジャーでした。
実際に試合に入ると、サーブはおっかなびっくりですし、スピードは全く出ない、フォアもバックも精彩を欠き、試合勘云々以前の問題という内容に思わず絶句。
初戦の対戦相手である世界238位のノビコフ相手にフルセットで敗れ、いきなり初戦敗退をしてしまったんですよね。
さすがにこの時は本当にショックでした。
世界238位の選手に初戦で敗れたこと以前に、そのパフォーマンスの内容があまりにも以前の錦織のプレーとは程遠い内容だったからです。
選手にとってのブランクとケガというのは、例え5か月間だったとはいえ、我々の想像をはるかに超える程のことなんだということを、この時ばかりは本当に痛感しました。
それと同時に、今後本当にATPツアーに戻ってこれるのか、復帰しても以前のような活躍ができるのかなど、右手首の手術を回避して臨んだ約5か月のブランクが、ここまで感覚を鈍らせるのかと、チャレンジャーの初戦敗退の衝撃に胸を痛め、愕然としたのを強烈に覚えています。
・RBCダラスチャレンジャー
チャレンジャー大会第2戦目は、アメリカ・ダラスで行われた試合でした。
第1戦では、まさかの初戦敗退という衝撃でしたので、第2戦はもうあまり期待せず、とにかく少しづつでも試合勘などが戻って欲しいという思いでプレーを観ていました。
ところがプレー自体は、まだおっかなびっくり感はあったものの、ゲーム毎に、更にはセット毎に徐々に感覚を思い起こしながら、勝つという感覚を取り戻していったんですよね。
そして、チャンレンジャー大会で見事優勝を飾ったのです。
ATPツアーでも約2年程優勝から遠ざかっていましたし、ニューポートビーチのあのプレーで初戦敗退を観ていましたので、まさか第2戦ですぐに優勝出来るとは正直全く思っていなかったですし、期待もしていなかったので、本当に嬉しい展開となりました。
とはいえ、もちろん完全復活したわけでもプレーのレベルが戻ったというわけではなく、まだミスも多かったですし、サーブの速度も出ていませんでしたが、それでもやはり優勝はやはり嬉しかったですよね。
●ATPツアーに復帰●
2月
・ニューヨークオープン
2大会のチャレンジャー大会を経て、なんとかATPツアーに復帰した錦織でしたが、ツアー初戦に選んだのは、ATP250ニューヨークオープンでした。
ここは2年前まで錦織が史上初の4連覇を達成したメンフィスオープンが、場所をニューヨークに移し、名称もニューヨークオープンに替えて初めての大会だったので、比較的相性は良いのでは?と期待していたんですよね。
そしてツアー復帰戦ということで、各方面のメディアも錦織のツアー復帰戦でかなり注目を集めていました。
恐らくチャレンジャー第2戦で優勝をしていたから余計に期待感は高まっていたのだと思いますが、結果的にアンダーソンに敗れ、準決勝敗退でした。
ダラスチャレンジャーで優勝して少し自信がついてきた錦織でしたが、それでもツアーに戻れば、普通の人というレベルで、まだまだトップ選手としての試合勘は戻らず。
それでも準決勝まで勝ち上がれたことは評価できる内容だったかなと思いました。
・メキシコオープン
チャレンジャー2試合とニューヨークで、徐々に試合に慣れてきた錦織の次の試合は、メキシコ・アカプルコで行われたメキシコオープンでした。
でも結果は、フルセットの末シャポバロフに初戦敗退を喫してしまいました。
この時はアカプルコがめちゃくちゃ暑く、また左脇腹にも痛みが出たということでの初戦敗退ということでした。
●マスターズ2試合では結果出ず●
3月
・BNPパリバオープン
アカプルコで初戦敗退をしてしまったので、シーズン初のマスターズとなるインディアンウェルズでは、少しでも試合をこなしつつもなんとか勝ち上がって欲しいと思っていたのですが、まさかの風邪による体調不良で、試合を欠場してしまったんですよね。
・マイアミオープン
錦織のフロリダの拠点に一番近いマイアミでの試合は、比較的相性が良い大会です。
昨年はこのマイアミで手首を痛めてしまった経緯はありましたが、改めてこの地で復活を印象付ける活躍を期待していたのですが、風邪がまだ完全に完治していないこともあり、また、調子の良かったデルポトロに完敗してしまい、3回戦敗退を喫してしまいました。
●勝負のクレーシーズン●
4月
・モンテカルロマスターズ
ヨーロッパのクレーシーズンに突入。
ラリーが続くクレーコートは、錦織のプレースタイルにも合っていますし、勝率も良いことはわかっていました。
ただ手首の不安があり、ここで活躍が出来るかどうかの試金石になると思って臨んだ6年ぶりのモンテカルロ。
そして迎えたクレーシーズン初戦、案の定錦織は得意のストロークで、ベルディㇶ、メドベージェフ、セッピを破って次々に勝ち上がり、ついには現在のトップ10選手である、チリッチ、ズべレフ2人を接戦で制し、なんと決勝まで勝ち上がってしまったんですよね。
決勝は王者ナダルに屈したものの、それでもくら得意のクレーとはいえ、まさか6年ぶりのモンテカルロで、しかも手首に負担のかかる可能性のあるクレーで準優勝できるとは!
まだ手首の痛みが残る中で、思いがけず準優勝となった錦織は、ここから少しずつ自信をつけていったんですよね。
・バルセロナオープン
モンテカルロで準優勝まで勝ち上がった錦織は、ここ数年毎年のように出場し結果を残してきたバルセロナに出場します。
このバルセロナでは過去に2度も優勝している相性の良い大会でしたが、モンテカルロの疲労が抜け切れず、初戦で棄権敗退となってしまいました。
●全仏オープンへジョコビッチの壁●
5月
・マドリードオープンン
モンテカルロで準優勝し、バルセロナでは残念ながら初戦で棄権敗退となってしまった錦織でしたが、場所を相性の良いマドリードに移し、新たな気持ちで臨んだマドリードオープンでしたが、初戦では錦織と同じく昨年半年休養していたジョコビッチと、まさかの初戦で対戦することに。
調子の良くなかったジョコビッチでしたが、なぜか錦織と対戦すると目が輝き、眠っていた獅子を起こすかの如く、勝負強さを発揮してしまうジョコビッチ。
これで錦織はジョコビッチにストレートで屈して初戦で敗退。
対ジョコビッチには11連敗となってしまったんですよね。
・BNLイタリア国際
マドリードではジョコビッチに初戦で敗れてしまった錦織でしたが、決して調子が悪いわけではないというのが大方の見方でした。
実際、モンテカルロで準優勝をして以降は、バルセロナでは連戦での疲労はあったものの、マドリードでジョコビッチでなければ、もう少し勝ち上がれたはず。
ということで、ローマでは準々決勝まで勝ち上がるわけですが、準々決勝でまたしてもジョコビッチとの対戦。
なんとかここでマドリードのリベンジを果たして欲しかったのですが、その願いも空しく、第1セットを先取するも、逆転で準々決勝敗退となってしまったのでした。
第1セットを先取した時は、今度こそ勝てる!と思ったんですけどね。
逆にそれがジョコビッチの闘争本能にどうやら火を点けてしまったようなのです。
そしてジョコビッチを益々強くさせてしまい、これで12連敗となってしまったのでした。
・全仏オープン
クレーシーズンの集大成となった全仏オープン。
モンテカルロでは準優勝になったものの、その後の全仏前哨戦では、コレといった手ごたえを感じる程の試合はできなかった錦織でしたが、それでも決して調子が悪いわけではない、そう思って臨んだ全仏オープンでした。
実際この全仏では、それまでのモンテカルロ以外の前哨戦ではパッとしなかったプレー内容が一転、素晴らしいプレーでジャンビエ、ペール、シモンと4回戦まで勝ち上がるなど、照準をこの全仏に合わせてきたんだなと思われる程、好調さが目立っていましたよね。
ところが迎えた4回戦、ナダルと共にクレーでは絶対的に強いティエムとの対戦で、圧倒的な強さを発揮してきたティエムを前に、1セット奪う意地は見せたものの為す術なし。
残念ながら4回戦敗退となってしまったのでした。
●苦手なグラスシーズン突入●
6月
・ゲリーウェバーオープン
ここ数年は毎年このハレでの試合でどこかしらケガをしてしまい、棄権敗退が続いている鬼門の大会。
ところが今年は2回戦敗退でカチャノフに敗れるも、ケガをしなかったのです。
負けてしまったことはもちろん残念ではありますが、とにかくこのハレでケガをしなかったことが一番良かったことだと前向きに捉えました。
●ウィンブルドンでの快挙とジョコの壁●
7月
・ウィンブルドン/全英オープン
グランドスラムで唯一ベスト8の記録を出せていない錦織圭。
というのも特にこのウィンブルドン前の前哨戦であるハレで、ここ数年は毎年のようにケガをしてしまい、そのケガをウィンブルドンまで引きずってしまい、結果が残せないことが多かったこともありますし、クレーシーズンからガラリと変わる芝のサーフェスにアジャストし切れないところもあったと思います。
短いグラスシーズンで結果を出さなければいけないというのは本当に大変なことですよね。
ですから早期敗退や、最高でも4回戦敗退止まりというのが当たり前になっていました。
ただ今年は、ハレで久々にケガをせずにウィンブルドン入りが出来たので、どこまで勝ち上がれるのか楽しみにしていたのです。
同じ芝のサーフェスですが、ハレよりウィンブルドンの方がプレーしやすかったのか、今まで芝では見たことない程の素晴らしいプレーで、ハリソン、トミック、キリオス、ガルビスと次々に勝ち上がっていったんですよね。
何よりファーストサーブの確率が上がり、サービスエースをたくさん取れるようになっていたのは大きな変化だったと思います。
そしてついに自身初のベスト8という快挙を成し遂げたのでした。
これで錦織はグランドスラムの4大会すべてでベスト8を達成したんですよね。
本当に素晴らしかったです。
ただそこから更にもう一歩先に行きたかったのですが、またしてもジョコビッチの壁に阻まれ、準々決勝敗退を喫っしてしまったのでした。
大事なところでいつもジョコの壁。
錦織の調子がいくら良くても、ジョコビッチの調子が悪くても、なぜか勝てない試合が続いてしまっています。
なんとかしなければいけないんですけどね・・・。
●夏のアメリカ・ハードコートシーズンへ●
8月
・シティオープン
短かったですが、充実したグラスコートシーズンが終わり、2週間の休養を経て、夏のアメリカ・ハードコートシーズンがまたやってきました。
3月まではケガから復帰した不安定さに相まって、風邪などの体調不良があったので、今シーズンはハードコートで満足いく結果が残せていないのです。
ただ、8月末からの全米オープンに向けて、改めてハードコートにアジャストしていく必要があり、まずはそれまでの前哨戦3試合で調整していくということなのですが、特にこの時点で心配はしていませんでした。
なぜなら錦織はアメリカ・ハードコートが得意の選手だからです。
まずは前哨戦第1弾はワシントンで開催されているシティオープンでした。
ヤング、シャポバロフを破ってベスト8までは勝ち上がったものの、ズべレフとの準々決勝は、途中雨で中断を挟むも逆転で準々決勝で敗退してしまったんですよね。
ウィンブルドンから2週間空いたものの、ハードコートのサーフェスに慣れていないのか、試合途中に痛み止めの薬をトレーナーからもらって飲む場面があるなど、どこか痛めているようでした。
まぁハードコート第1弾でベスト8まで勝ち上がれたことは、悪くはなかったと思います。
・ロジャーズカップ
ワシントンでベスト8敗退からすぐにカナダ・トロントに移動し、新たな気持ちで臨んだマスターズ戦、ロジャーズカップ。
全米オープン前哨戦の第2弾です。
比較的この大会とは相性が良く、世界ランキングを一気に上げるチャンスでもあるのでワシントンでの屈辱を晴らすべく、できるだけ上位に食い込んで欲しいと思っていました。
ところが蓋を開けてみると、なんとまさかのストレートで初戦敗退です。
実は昨年もこのロジャーズカップで初戦敗退していたのですが、2年連続とは正直驚きでしたね。
相手はハーセということで、簡単ではなくても、勝てない相手ではないと思っていただけに、この結果は本当に残念でした。
確かにハーセのプレーは素晴らしかったのですが、でも敢えて辛口なことを言わせてもらえば、この初戦は完全に錦織の自滅的な敗退だったと思います。
恐らく前週のワシントンでの蓄積疲労が原因なのでは?と思っていましたが、まぁ致し方ないという感じでした。
・ウェスタン&サザンオープン
前哨戦第3弾となるアメリカ・シンシナティマスターズ。
ワシントンではベスト8、トロントでは初戦敗退という結果で、全米オープンの前哨戦では、確固たる結果が出せたとは言い難い内容でしたので、前哨戦最後のシンシナティではなんとか納得のいくところまで頑張って欲しいなと思っていました。
しかしながら、結果は2回戦敗退でした。
復活を目指しているワウリンカに屈し、ストレートで敗退ということで、全米オープンまでに手応えを感じる結果を残すことが出来なかったんですね。
それでも、ウィンブルドン前のハレで結果を残せなかったですが、ウィンブルドンではしっかり結果を残し、キャリアハイとなるベスト8まで勝ち上がりましたので、全米でもそれを期待したいと思いました。
・全米オープン
いよいよ全米オープンが開幕し、ウィンブルドンのような結果が出せるのか注目が集まりましたが、実際本当に本領を発揮していくのでした。
マーテラー、モンフィス、シュワルツマン、コールシュライバー、チリッチと怒涛の快進撃でベスト4まで勝ち上がり、実際試合内容も素晴らしく、前哨戦で結果が出なかったことはなかったかの如く、素晴らしいプレーの連続で準決勝を迎えることになったのですが、対戦相手がまたしてもジョコビッチということで、今度こそ!という思いで見守ったのですが・・・。
ジョコビッチの戦略で阻まれ、またもやストレートで完敗を喫し、準決勝敗退してしまったのでした。
どうしてもジョコの壁が崩せません。
それまでどんなに素晴らしいプレーで勝ち上がってきても、なぜかジョコとは相性が本当に悪いのか、負けてしまいます。
どうしたらいいのでしょうか。
恐らく負け癖みたいなものが付いてしまっているのか、今はまだ勝つための戦略が思い付きません。
メンタル的なことだとは思うのですが、実際どうなのでしょうね。
これで14連敗となってしまいました。
●インドアコートシーズンへ●
9月
・モゼールオープン
全米オープンでベスト4まで勝ち上がり、素晴らしいパフォーマンスと共に頑張ってきたわけですが、その健闘空しくジョコビッチの壁破れず敗退してしまったわけですが、
この時点でまだ世界ランクトップ10には入れず、また、最終戦ランクトップ8までも見えてきた状況ではありますが、あともうひと踏ん張りが必要というところまできました。
ここからインドアコートシーズンに入っていくので、なんとか勝ち上がって頑張って欲しいなと思っていました。
フランス・メスで開催されるモゼールオープンは、錦織が初めてツアーに組み入れた大会なのですが、例年この時期はあまり試合を入れないのですが、今回は全米後、インドアコートに慣れるという意味もあってか、ATP250の大会ですが、試合を入れたということなのでしょう。
ゴヨブジク、バシラシビリを破って順調にベスト4まで勝ち進んできた錦織は、久々の優勝まであと2つというところまで来ました。
準決勝の相手は、世界166位のバッヒンガー。
今年は、チャレンジャーとハレで戦い3度目の対戦となったわけですが、まさかの伏兵となってしまいました。
錦織としては、特に気を抜いたわけではなかったとは思いますが、まさかの逆転負けを喫し、準決勝敗退となってしまったのです。
第1セットが完璧だっただけに、なんとももったいない試合でした。
第2セットでも最後に気を抜かなければ、第3セットでもそうです。
ちょっとしたミスが大きなミスになってしまい、それが命取りになってしまったという試合だったように思いました。
2年半ぶりの優勝がすぐそこま見えていたのに、自ら手放してしまった格好になってしまいました。
・優勝のチャンスを2度も逃す●
10月
・楽天ジャパンオープン
2年ぶりに出場した楽天ジャパンオープン。
やはり貴重な日本での試合ということで、出来る限り最後の方まで試合に出続けて欲しいですし、出来ることなら久々に優勝もして欲しいと思っていました。
ただ、この楽天オープンはけっこう人気があって、けっこうなビッグネームの選手達がエントリーしていることもあって、けっこうシビアな戦いになるのではないかという懸念があったのですが、実際に試合をしてみると、この日本での応援を最大限力に変えて、ものすごい力で勝ち上がっていくのでした。
杉田祐一、ペール、チチパス、ガスケと全てストレートで勝ち切って、ついに決勝進出までしてしまった時には、今度こそ久々に優勝だ!!と思っていたんですよね。
ところが決勝でまたしても伏兵ですよ。(-_-;)
対戦したメドベージェフがまさかのゾーンに入った最高のプレーをしてきたので、錦織としては、ここにきてまさかの為す術なし状態になってしまったのでした。
そして屈辱のストレート敗退で、またしても準優勝という苦汁をなめる結果となってしまったのです。
もちろん準優勝という結果だけ見れば素晴らしいですし、唯一の日本開催ということでプレッシャーなどを考えれば、この結果は中々出せないことだとは思いますよ。
とはいえ、2年8か月も優勝から遠ざかっているということや、決勝戦で8連敗という結果には、やはり何かあるのかな?と思わざるを得なくなっているのです。
その何かとは、やはりメンタル的なことなのかなと。
その懸念を払拭するには、やはり優勝するしかないんですよね。
・上海マスターズ
楽天ジャパンオープンで準優勝だった錦織は、すぐに中国・上海に飛び、マスターズに参戦しました。
中2日という強行スケジュールでしたが、シードがあったので2回戦からの試合に。
楽天での疲れは恐らくあったとは思いますが、それでもイービン、クエリーと破ってベスト8までは順調に勝ち上がり、調子の良さは依然維持は出来ていたのですが、準々決勝で久々にフェデラーと対戦が決まりました。
フェデラーとは久々の対戦だったこともあり、どんな戦いになるのか楽しみではあったのですが、残念ながらストレートで敗れ、準々決勝敗退となってしまったのでした。
勝てる可能性はもちろんあったと思いますが、フェデラーは錦織の特徴を理解していたのでしょう。
できるだけロングラリーにならないように工夫したり、早い展開や、得意のサーブ&ボレーなで積極的な攻撃スタイルを心掛けて、錦織に突け入る隙を与えなかったことが、奏功したのだと思います。
一方の錦織は、フェデラーの術中にはまっていることが試合途中でもわかっていたと思いますが、それでも、結局その流れを最後まで止めることが出来なかったんですよね。
37歳のレジェンドであるフェデラーは、まだまだ本当に強かったです。
・エルステバンクオープン
例年のこの時期は、上海からスイス・バーゼルに飛び試合をするのですが、今年は初めてオーストリア・ウイーンで開催される、エルステバンクオープンに参戦しました。
ここウイーンは、ドミニク・ティエムの地元で、第1シードもティエムです。
ティエムの凱旋試合ということもあり、すごい人気でした。
錦織はこのウイーンでも好調ぶりを発揮し、ティアフォー、カチャノフを破り、準々決勝で第1シードのティエムと対戦します。
観客の殆どがティエムの応援でしたので、錦織は完全アウェーの中始まった試合でしたが、全仏オープンで完敗したのとは真逆で、錦織はもちろん空気を読まず、ティエムを圧倒!
ストレートの圧勝でベスト4進出を果たしたのです。
この試合はティエムには申し訳なかったですが、ものすごく気持ちが良かった試合でした。
そして準決勝でククシュキンにも勝って、今シーズン3度目の決勝進出です。
相手は、今年キャリアハイの成績を上げている絶好調のアンダーソン。
相手が誰であれ、とにかく今度こそ、本当に今度こそ!
そんな思いで迎えた決勝戦でしたが、終わってみれば、またもやストレートで敗退し、準優勝となってしまいました。(-_-;)
もちろん初めて出場したウイーンの大会で決勝まで勝ち上がっただけでもスゴイことなんですよね。
ただ、、、毎回言ってしまいますが、なぜ決勝でこうも勝てないのかということです。
錦織は間違いなく優勝できる実力は絶対に持っているはずなんです。
でもなぜか決勝になると、緊張してしまうのか、たまたま相手がゾーンに入ってしまうのか、よくわかりませんが、本来の実力を発揮できずに負けてしまうんですよね。
ここまで頑張ってきたのに、すごくもったいない。
グランドスラムならまぁしょうがないですが、今回のウィーンも先日の楽天もATP500の大会です。
500の大会なら優勝してきたのですし、優勝して欲しかったなというのが正直な感想です。
いつになったら優勝トロフィーを掲げた錦織がまた見れるようになるのでしょうか。
これで決勝9連敗となってしまったのでした。
・ロレックスパリマスターズ
このパリマスターズが今シーズンの公式戦では最後の大会となります。
この大会が始まる前の時点で、錦織の世界ランキングは11位。
最終戦ランキングは9位ということで、本当にあと一歩というところまで来ていました。
土壇場で8位以内のツアーファイナルへ行くことが出来るのか?
ということで、ファンのみならずメディア関係者の中でも、かなり注目が集まっていたと思います。
そしてパリマスターズの初戦は、初対戦だったマナリノにストレートで勝利し、迎えた3回戦は、先日のウィーン決勝で完敗したアンダーソンでした。
今回はリベンジに燃えていた錦織が見事にアンダーソンをストレートで下し、迎えた準々決勝。
またしてもフェデラーと対戦です。
上海では完敗を喫していましたので、アンダーソンのようにリベンジをしたかった錦織でしたが、残念ながらフェデラーをまたしても崩せず、ストレートで敗れ、準々決勝敗退となってしまいました。
これでフェデラーに6連敗を喫してしまったわけですね。
あと一歩のような気もしますし、まだまだのような気もします。
これで錦織圭の2018年シーズン全日程が終了したのですが、最終戦ランキングは結局9位ということで、本来なら8位以内には入れなかったのですが、ここにきて、ファイナルズに確定しているデルポトロが膝の骨折のために欠場を表明。
それからナダルも、ロンドン入りしてからの練習で脇腹を痛めてしまい、欠場を余儀なくされての表明となってしまいました。
ということで、土壇場で繰り上げ出場が決まったのでした。
運も実力のうちです。
デルポトロとナダルのケガについては本当に残念ですし、それで繰り上げられた錦織を運と軽く言いたくはないですが、それでもやはりそれもしっかりここまで一生懸命出場圏内まで勝ち上がる努力をしてきたからこその恩恵とでも言いましょうか。
2人の分まで頑張ってファイナルズを暴れてきてほしいと思いました。
●フェデラーにリベンジ成功も有終の美飾れず●
11月
・NittoATPファイナルズ
おこぼれではあっても出場できたことは最高に素晴らしく喜ばしいこと。
私はその喜びを噛みしめつつ、錦織の2年ぶりのファイナルズ出場を楽しみにしていました。
やはり出場するからには、なんとしても決勝トーナメントに進んで欲しい!
今シーズンの最後の試合ですから、有終の美を飾って欲しい!
そう思っていました。
錦織のラウンドロビンのグループは、フェデラー、アンダーソン、ティエムでした。
この3人の選手、直近2か月で2回、2回、1回と対戦しているので、お互いに手の内はわかっている間柄。
勝敗は紙一重のような、ちょっとしたきっかけで決まってしまうこともあれば、ワンサイドゲームのように一方的な展開で終わることもあります。
初戦はフェデラーでしたが、ここ2か月で2連敗していますから、そのリベンジを今度こそ!という思いで挑んだ試合でした。
錦織の勝ちたい思いが勝ったのか、お互いに調子が良いとはいえない中でも、フェデラーのミスを引き出し、フェデラーの弱点を上手く突いて、錦織が久々にストレートでフェデラーに勝ったのでした。
これはもう最高に嬉しかったですよね。
どんなカタチであれ、勝った方が勝者であり、勝った方が強いのですから。
幸先良いスタートを切った錦織のラウンドロビン第2戦は、アンダーソンです。
先日のパリでは錦織がリベンジに成功するも、今回の初出場のアンダーソンは、並々ならぬ思いで錦織との試合に挑んできたのが最初に入場時から、その精悍な表情と雰囲気で伝わってきました。
それでも我らが錦織圭だって、第1戦でフェデラーに勝って、今自信に満ち溢れているし、絶対に先日のパリのように勝って連勝するぞ!と思っているに違いないということで、試合を見守っていたのです。
ところがミスに次ぐミスと、ファーストが全然入らずという最悪の展開になり、まさかの圧倒的完敗を喫し、ストレートで敗れてしまったんですね。
しかもその負け方が半端ない負け方で、それこそ接戦ならともかく、ワンサイドゲームという展開でした。
まさしく為す術なしとはこのことですよね。
とにかくサーフェスもボールもタイミングが全然合っていなかったようで、こんな一方的な錦織の負け試合は今まで見たことがなかったです。
そのくらい酷い負け方でした。
でも幸いラウンドロビンはトーナメントではなくリーグ戦です。
次のティエム戦で勝てば、決勝トーナメントに望みを繋げられるのです。
ということで第3戦を迎えたわけですが、どうもアンダーソンとの完敗を引きずっているのか、ティエムと試合が始まっても、アンダーソン戦に続き、ティエム戦でもミスの嵐、そして相変わらずファーストが入らず。
ティエムも決して絶好調ではなかったですが、それでもファーストは入っていましたし、ティエムは、フェデラーとアンダーソンに負けて既に2敗していたので、後がないところから高い集中力で挑んできたのだと思います。
錦織は、そのティエムに対し、熱意でも及ばず、結局修正も最後まで出来ず、ストレートでティエムに敗退してしまったのでした。
これで1勝2敗。
初戦でフェデラーに勝ったことは最高に嬉しかったのですが、終わってみればグループでも最下位の成績での敗退となってしまい、有終の美は飾れませんでした。
これで錦織の2018年シーズンは幕を閉じたのでした。
まとめ
錦織圭の2018年シーズンはいかがでしたでしょうか。
こうして振り返ってみると、紆余曲折がありながらも、激動の1年だったなと思います。
欲を言えばキリがありませんが、それでも敢えて言うなら、1度でも優勝して欲しかったなと思いますし、できればジョコビッチにも1度でも勝って欲しかったというのはありますが、それはもう来シーズンへの宿題ということですね。
もちろん良いこともありました。
復帰元年に、3度も決勝に行けたこと。
ウィンブルドンで初のベスト8、グランドスラム4大会で全てベスト8という快挙達成したこと。
フェデラーへの連敗が6でストップし、4年8か月ぶりに勝てたこと。
年間世界ランキング9位ということで、トップ10に返り咲けたこと。
2年ぶりにツアーファイナルに出場できたこと。
今シーズン錦織が出場した全20試合の中で、11試合がベスト8以上まで勝ち進むことが出来たこと。
ネガティブなことばかりではありません。
安定感のある素晴らしい成績を残してきているではありませんか。
ということで、来年はどんな活躍を我々ファンに見せてくれるでしょうか。
出来れば今年以上の活躍を期待したいですよね。
期待に応えてくれる活躍を祈りながら、来シーズンもまた頑張って頂きたいと思います。
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