年間最終ランク13位!
先月ロンドンで行われていたATPファイナルズは、結果的にチチパスの優勝で幕を閉じ、 今シーズンのツアー全日程が終了しました。
終わってみれば、我らが錦織圭の年間最終ランキングは13位。
2017年で落としたランキングを、昨年9位に戻し、今シーズンは5位まで上昇させたものの、全仏で痛めた右肘の影響が大きく、思うようなプレーや結果を残すことが出来ないまま、今シーズンの最終ランキングは13位で、幕を閉じた格好となりました。
正直言うと、トップ10陥落は本当に残念です。
でもまぁ致し方ありませんよね。
ただランキングに関しては、右肘の状態が完治しさえすれば、また来年以降上げていけるだけの実力は既に持っていると思うので、それ程心配はしていません。
それよりも今は、フィジカルを万全の状態に整えることが最優先ですよね。
そして、もちろんフィジカルだけではありません。
せっかくマイケルチャンコーチが付いているのですから、しっかりメンタルトレーニングもして頂き、万全の状態で新しい2020年シーズンを迎えて欲しいなと思っています。
2019年を総括
改めて今シーズンの試合をざっくり振り返ってみると、ブリスベンで久々のツアー優勝を果たし、幸先良いスタートを切るも、グランドスラム以外の試合は、初戦敗退やら、早期敗退などが目立つ、苦悩のシーズンだったように思います。
ただ、良かった点としては、やはりグランドスラムの全豪、全仏、ウィンブルドンで、全てベスト8まで勝ち上がるなど、持ち前の勝負強さをしっかりと魅せてくれていたところでしょうか。
いざという時にしっかりギアを上げ、勝ち上がることが出来たこと、その安定感はさすがだなと改めて思いました。
ただ一方で、明確な課題が浮き彫りとなったのは、サービスの不安定さと、突如崩れてしまうメンタル面でした。
これは正直今に始まったことではないと思いますが、それでも、 やはりこれを修正し続けていかなければ、今後も安定して勝ち続けていくことは難しくなっていくと思います。
更にもっと細かく見ていくと、グランドスラムでは安定した勝ち星を重ねてはいたものの、全豪や全仏で、何度も危ない場面がありましたよね。
しっかり集中してプレーをしていれば、恐らくストレートで勝てたであろう試合を、自らのミスで、4セットや5セットにまでもつれさせてしまう。
そして、かなりの労力やらエネルギーやらを総動員し、死闘を制してなんとか勝利を掴んでの劇的勝利。
確かに勝ったことは嬉しいのですが、素直に喜べない自分もどこかにいるわけで。
というのも、本当にそんな劇的勝利は必要なのかということなのです。
正直いつも疑問に思います。
もちろんどんなカタチであれ、勝つことに意味がありますし、勝ってなんぼの世界だというのも、プロですから当然あると思います。
それでも、BIG3など格上の選手や強豪選手との対戦ならともかく、ランク50位以下、100位以下の選手との対戦で、自らミスを連発し、2セットダウンにしてしまったり、調子よく勝っていたのに、詰めの甘さで劣勢に追い込まれ、ストレートで決めきれず、そこから焦ってミスをしたり、4セット、5セットにまでもつれてしまうというのは、本当にもったいないことですし、ある意味エネルギーの無駄遣いになってしまうと思うのです。
そのようなプレーが散見された、全豪、全仏だったと思いますし、そういうことが蓄積疲労となり、引いては今回の右肘のケガにも繋がった一因にもなった可能性というのも、ある意味否めないのかなと思ったりもしました。
現在もどんどん若手は台頭してきていますし、虎視眈々と、トップ10の座を狙ってきています。
今月30歳を迎える錦織としては、悠長に構えている時間などもちろんないわけですが、とはいえ、焦ってどうなるということもないわけで。
そういう意味でも、今後のプレーについて、色々と考え、修正しなければいけないことが明確になったのではないかなと思いました。
コーチの刷新
まず錦織が今後のことを色々と考え、決断し、実行に移したのが、コーチの刷新でした。
フルタイムコーチとして、9年もの長い間、いつも錦織の傍で叱咤激励をし、寄り添っていたダンテ・ボッティーニコーチと、コーチ契約を解消したのです。
正直個人的には、このニュースは本当に驚きました。
しかもコーチ契約を解消するのなら、ダンテではなく、マイケルの方だと思っていたので、錦織としては、ある意味大きな決断だったのではと思いました。
長年一緒にいて、気心もわかり、信頼し、親友のような存在のダンテがいなくなることは、正直不安もあったと思うのです。
でも敢えてコーチ契約を解消したことに、錦織の本気度が伝わってきたんですよね。
錦織曰く、
「夏くらいからコーチは、なんとなく探し始めていた。
ダンテとも長かったですし、今のマイケルとも長くやっている。
長くやっている分、信頼し合い、お互いのことを分かり合って、というところはあった。
もう一歩いきたいなというところも、もちろんあった。
新しい声も取り入れたい」
と語っていましたので、このままでは現状維持はおろか、上昇していくことは厳しいのではないか、恐らくそう判断した上での決断だったのではと推察しました。
それに錦織の課題は、ある意味明確ですからね。
そうです。
サーブとメンタルです。
メンタル面のトレーニングについては、マイケルがやってくれているようなので、今回サービスの修正をしっかりしてもらえるコーチを、恐らく人選したのだと思います。
それが、今回新たなフルタイムコーチとしてチーム圭に加わった、マックス・ミルニコーチだったのです。
なぜ錦織がミルニをコーチに選んだのでしょうか。
それはまず、195cmから繰り出される高速サーブなど、サービス面での向上を計りたいと思ったことなのかなと思いました。
それに加えてミルニは、ダブルスで世界ランキング1位を57週、グランドスラムで6度の優勝、ロンドンオリンピックでは、ミックスダブルスで金メダルを取ったこともある、ダブルスにおいては凄い経歴を持っているということ。
ということは、ネットプレーなどの攻撃的戦術にも長けているということなのでしょうし、錦織としても、
「彼ほどの攻撃はしないまでも、サーブとネットプレーは改良して取り入れたい」
と語っていましたので、恐らく学ぶべきところがたくさんあると踏んだのでしょう。
錦織は、今回ミルニコーチを迎えるにあたり、
「(ミルニは)ジュニア時代から尊敬していたので、今回頼むことになりました。
結構スムーズに受け入れてくれた。
彼(ミルニ)は頭もすごくいい。
すごく真面目で、情熱があり、前しか見ずに戦うイメージ。
彼みたいなプレーをしたいというのもあった」
と、語っていました。
そして、ミルニコーチも以下のようにコメントを発表しています。
「錦織の手助けができる機会を得ることができてうれしく思っている。
彼をとても長い間知っている。
IMGアカデミーで多くのトレーニングを共にした。
だからここまでの経過は僕ら2人にとって個人的にもプロの選手的にも普通のことであると思う」
ミルニの拠点は、なんと錦織の拠点・ブラデントンの近くらしく、IMGアカデミーでも何度も顔を合わせ、一緒にトレーニングもした事がある方だったとのこと。
それなら、全くの初対面のコーチではないわけですし、多少なりとも知っていることもあるという意味では、打ち解けていくのは早いのかなと思います。
もちろんミルニコーチと錦織の相性というのは、これから一緒にツアーを帯同していくことで、わかってくることもあるでしょうし、もしかしたら合わないというのも出てくるかも知れません。
それでも、錦織が目指すところは明確なのですから、それに向けて協力して前に進んでいくだけですよね。
ミルニコーチの愛称は、 「Beast(野獣)」ということですが、選手としてではなく、今度はコーチとして、錦織に自身の野獣ぶりを是非注入して頂きたいと思います。
どんなチームになっていくのか、今から楽しみですね。
来年は2018年シーズンを踏襲?
現在錦織は、10月22日に右肘の手術を受けた後、懸命にリハビリに励んでいます。
そして最近は、ようやくスポンジボールを打てるようになってきたようで、順調に回復に向かっているようです。
当初は、12月26日からハワイで行われるエキシビションマッチで体を慣らし、年明け早々にパースで行われる国別対抗戦・ATPカップで気持ちを整え、そしていざ全豪オープンへ出場という予定でした。
でも実際は、リハビリが順調とはいえ、まだ現在スポンジボールを打っている段階ですし、エキシビションはおろか、もしかしたら1月中旬の全豪出場も正直難しいかもしれません。
錦織も、
「リハビリは順調に進んでいます。
最近やっとスポンジボールで打てるようになり、軽いラケットから始めた。
今月末には、しっかり打てるようにしたい。
戻ってこられるのは1月のどこか。
もしかしたら2月。
引退の方が近くなっている。
いろいろ考え始めたりはしますけど、体の衰えはそこまで感じていない。まずは(右ひじを)しっかり治して、来年の後半にいいテニスができるように戻ってきたいと思います」
と語っていましたので、もしかしたら本格的なツアー復帰は2月になってしまうかも知れません。
実際中途半端に戻ってきても、右肘が良い状態でなければ、全く意味はないですし、下手に戻ってまた痛みが再発したら、元の木阿弥ですからね。
絶対無理はして欲しくないと思います。
とはいえ、試合勘などの感覚を早く取り戻したいという思いもあると思うので、恐らく最初は2018年に復帰したようなスローペースで、場合によってはチャレンジャーからスタートを切っていくのかもしれません。
さて、チーム圭は、いったいどういう判断を下すのでしょうか。
新コーチも加入したことですし、錦織自身の右肘の状態や、体調を考慮しての判断になると思いますが、果たしてどこでどう復帰してくるのかということですね。
いずれにしても来シーズンは、東京オリンピックもありますし、復帰イヤーとして、また右肩上がりの活躍を期待したいと思います。
もちろんツアー優勝もまた観たいですし、出来ればマスターズ以上のビッグタイトルをドカンと獲得して欲しい。
30歳の節目の年として、大きくジャンプして、是非高く高く飛んで欲しいです。
どんな活躍ぶりが観れるのか、今から大いに楽しみにしていきたいと思います。
来年も頑張れ、錦織圭!!
ご挨拶
皆様、今年も拙い当ブログにお越し頂き本当にありがとうございました。
今年は全米3回戦で錦織が敗退して以降、モチベーションが一気に落ちてしまい、中々ブログを更新することが出来ませんでした。
そしてもしかしたら来年も、私用で錦織の出場試合で、ブログの更新が出来ない可能性もあります。
それでも出来る限り、試合を観て全力で応援し、更新していければと思っておりますので、来年もどうぞよろしくお願い致します。
ありがとうございました。
コメント
はじめまして。テニスが好きでたまたまこのブログを見つけて読ませてもらってます。
一歩引いて冷静な分析をされていて、読んでいて納得させられることが多いです。お忙しいとは思いますが、またテニスシーズンに記事を更新されるのを楽しみにしています。
>ひでさん、
コメントありがとうございます。
>一歩引いて冷静な分析をされていて、
>読んでいて納得させられることが
>多いです。
恐縮です(^_^;)
来年は30歳としての復活イヤーでもありますし、東京オリンピックが控えてもいますので、期待したいですよね。
このブログもボチボチ更新していきたいと思っておりますので、来年もどうぞ宜しくお願い致します。